東北大 小柳教授、「3次元LSIはパッケージ技術ではない」

東北大学大学院 工学研究科 教授の小柳光正氏は5月29日、弊誌主催の第179回Technical Symposium「2008 Si貫通電極形成技術★徹底検証」において、3次元LSIの開発動向と今後の展望について語った。3次元LSIの開発は、世界中で活発化しているが、特に、欧米では次世代のシステムLSIを支える重要な技術として位置づけられている。一方、日本ではパッケージ技術の延長線上として捉えられている傾向が強く、このままでは、LSIの技術開発において後塵を拝するとの懸念を示した。また、東北大学が提案するものも含めて、様々なプロセスが提案されているが、強い技術だけが生き残ると主張。併せて、技術的なポイントの1つとして、ウェーハ薄厚化技術を挙げ、「デバイスごとにプロセスを考えなければならない他、薄厚化に伴うゲッタリング効果の消失を考慮する必要があるなど、決して単純なものではない」と述べた。東北大学では、評価を積極的に進めているという。(西山和敏)


東京大 杉山准教授、「Boschプロセスのスキャロッピングをモデル化」
東京大学大学院 工学系研究科 総合研究機構 准教授 杉山正和氏は、同シンポジウムにおいて、「Si深掘り技術の基礎と最新動向」と題し講演を行った。Si深掘りでは異方性エッチングにより底面を深掘りしていくが、イオン入射角度の垂直方向からのずれによりラジカル種が側壁を後退させてしまう。これに対し、Boschプロセスでは、保護膜のデポジションと底面のエッチングを交互に複数回繰り返すことにより、高いアスペクト比の深掘りを実現している。一方、プロセス過程中のアスペクト比に依存して、側壁に凹凸(スキャロッピング)が発生、浅い所ほどスキャロッピングが顕著という。この定量的な解析には、現象論的なモデリングが有効で、デポジションのステップカバレッジのモデル化が応用できるとし、イオンの反応確率を用いた底面/側壁エッチング速度により、スキャロッピングとアスペクト比との依存性が確かめられた。数値シミュレーションに発展させることで、スキャロッピング形状を予測できる。
これにより、パターンに合わせた最適なエッチング条件の設定が可能になるとした。
(縣政光)