解禁になった衝突回避

http://techon.nikkeibp.co.jp/article/TOPCOL/20090609/171504/?ST=NAT
 スウェーデンVolvo社が2009年8月にSUV「XC60」を日本で発売すると発表しました。特徴は、低速走行時に衝突を回避するために、自動でブレーキを作動させる「シティ・セーフティ」。国内で、低速走行時に衝突を回避する機能が実用化されるのは初めてです。国土交通省は「ドライバーの過信を招く」として、これまでシティ・セーフティの導入には慎重な姿勢を見せていました。
 最近の上級車は、レーダやカメラで先行車までの距離を認識して、衝突直前に緊急ブレーキを自動的に作動させる「プリクラッシュ・セーフティ・システム」を備えています。国土交通省の技術指針では、衝突の1.4秒前から緊急ブレーキを作動させることが認められています。緊急ブレーキの作動により車両を停止させ、結果として衝突を回避することは実現しても良いことになっていました。ただし、技術指針の「ドライバーの過信を招かない」という条件が付きます。国内メーカーは、衝突が回避できる状況でも、車両を停止させず、衝突の被害軽減までにとどめていました。トヨタ自動車の最上級ブランド「レクサス」でさえ、衝突を回避する機能の導入は見送っています。
 筆者はこれまで、安全分野で先進的なトヨタが新型車を発売するときに技術指針が変更となって、衝突回避機能の国内への導入が実現するのではないか、と考えていました。結果的には、シティ・セーフティの機能を2009年3月に国内の報道陣に公開するなど(関連記事:http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20090303/166647/
)、国内で衝突回避機能の導入に積極的な姿勢を見せていたVolvo社が一番乗りを果たしたことになります。 
 国土交通省は、今回のシティ・セーフティの市場投入について、30km/hまでの低速域で作動することなどから認可したと説明します。つまり「ドライバーの過信を招かない」という条件をクリアしたことになります。
 今後国内の自動車メーカーも同様の機能を相次いで実用化すると予想されます。衝突回避機能が導入されれば、追突事故の減少が期待でき、追突事故を要因とするむち打ち事故の減少にもつながります。今回の低速域の衝突回避に続いて、将来は高速域の衝突回避まで実用化になるでしょう。そのときは、まずは日本メーカーに実用化してもらいたいと考えています。