民生向けICの「信頼性」を確保せよ

http://www.ednjapan.com/issue/2008/07/u0o686000000d76z.html
 半導体業界のある識者は、「われわれの業界では、開発の全工程において信頼性の問題に適切かつ迅速に対処してきた」と語る。グラフィックスプロセッサベンダーである米NVIDIA社で技術/ファウンドリ事業担当バイスプレジデントを務めるJohn Chen氏は、「今後数年のうちに、すでに顕在化している信頼性の問題の多くは解決されるだろう。ただし、先端技術を最大限に活用しつつ、思わぬ危機を回避するために、設計者はこうした問題について認識しておく必要がある」と語る。

 NVIDIA社や米Xilinx社は、新しいロジックプロセスを採用した設計の最先端にいる。Xilinx社の先端製品グループで製品開発エンジニアリング担当シニアディレクタを務めるGlenn O'Rourke氏は「両社とそのファウンドリパートナは、新プロセスが抱える潜在的な問題を認識しておかなければならない」と述べる(別掲記事『ファブレス企業の信頼性への対応』を参照)。

 NVIDIA社の共同創設者であるChris Malachowsky氏は、1996年に同社初のチップを設計した。100万個というトランジスタ数は、当時としては膨大なものであった。それに対し、65nm技術を採用した同社最新のグラフィックスプロセッサのトランジスタ数は10億個を超える。同社のChen氏によれば、「グラフィックスプロセッサには莫大な処理能力が必要となる。そのため、トランジスタ数は18カ月ごとに2倍以上に増えている」という。このような状況に関して、同氏は、以下のようにコメントを続けた。

 「何らかの制約から最先端のプロセスを利用できない一部のアプリケーションとは異なり、グラフィックスプロセッサの場合、常により小型で高速で高性能なトランジスタを利用することができる。われわれは、常に最先端の技術を利用して、ムーアの法則の波に乗るという最高の機会に恵まれている。しかし、最初に新しい技術を利用する企業には、信頼性をはじめとする新しい課題がつきものだ」。