名古屋大 高田氏、「車載ネットワークは車外システムと連携へ」

名古屋大学大学院 教授 高田広章氏は7月18日、米Cadence Design Systems主催のDASHOW/CDNLive! Japan 2008(7月17日〜18日開催)において、「車載組み込みシステム技術の動向」について講演した。一昨年に発表されたトヨタ自動車の「LEXUSLS460」には、100個以上のECU(Electronic Control Unit)が搭載されており、ソフトウェアの総ライン数は700万行にも及ぶことを紹介。車載制御システムは、省エネや安全性・利便性の向上に向けて高度化が進んでいるとした。車載組み込みシステムの用途は制御系、ボディ系、マルチメディア系、統合制御システム/サービスに分かれる。例えばエンジン制御の場合、エンジンの1サイクルごとに各種センサからの入力を基に最適な燃料噴射量や点火タイミングなどを計算しており、仮に点火プラグが故障したらその気筒には燃料噴射しないように、常に故障診断を行って安全性・信頼性を確保している。車載ネックワークでは、低消費電力が求められるボディ系に低速CANが、高速応答・高信頼性が求められる駆動・走行系(制御系)には高速CANが搭載されるなど、それぞれの要件に応じたネットワークで構成されている。これら車載システム/ネットワークは、エンジンやブレーキ制御が個別に電子化されてそれぞれ独立に動作する段階から、個々の制御システムが車載ネットワークを通して協調動作することで新しいサービスを提供する段階に入っている。今後は、「車載ネットワークが車外のシステムともつながる段階に進むことが期待される」(高田氏)という。車載組み込みシステムの開発に当たっては、「従来の部品ベースの開発から、自動車メーカー主導によるプラットフォームベース(ハードウェア、OS、ミドルウェア)の開発が求められる」(同氏)との認識を示した。(藤村顕太朗)