【東京モーターショー】

トヨタ 渡辺社長、「サステイナビリティで新たな可能性」
トヨタ自動車 社長 渡辺捷昭氏は10月24日、第40回東京モーターショー(一般公開:10月27日〜11月11日)のプレス公開において、“サステイナビリティ”をキーワードに、自動車の新たな可能性を切り開いていく姿勢を強調した。同氏は、コンセプトカーである1人乗り電動自動車「i-REAL」を運転して登場し、「人と地球が共生できる社会を目指したサステイナブルモビリティ、自然と調和したモノ作りを目指したサステイナブルプラント、サステイナブルな人と社会への貢献という3つの切り口で、次世代のクルマ社会をリードしていきたい」とした。i-REALは前輪2・後輪1の三輪車。町中走行時には歩行者と視線を合わせた高さで走行するが、機敏に走行させたい時には低い重心で走行能力を高める他、周辺監視センサの活用など、ヒューマノイドロボットの要素技術を自動車に取り込んだ印象が強い。(加藤伸一

x-by-wireを採用したコンセプトカーの出展が相次ぐ
第40回東京モーターショーでは、日産自動車の「pivo 2」やホンダの「PUYO」など、タイヤの駆動やブレーキなどの制御方法を、従来のワイヤから電子制御に置き換えるx-by-wire技術を導入したコンセプトカーの出展が相次いだ。このうち、日産のpivo 2は、車体から4方向に伸ばしたアームの先端に高出力のディスク型モータを内蔵したホイールを配置する構造を採り、アームの回転軸とホイールの向きを変えるための回転軸をそれぞれ任意に駆動できる。これにより、キャビンの360度回転以外にも、駐車させる場所に真横から移動させたり、カーブ走行時に車輪に掛かる重心を平均的に制御したりできる。動力には、車体中央に搭載した小型Liイオン電池を用いる。ダッシュボードにはロボット型のインターフェースを搭載し、運転者の状態を表情や会話から推定して話しかけたりする。一方、ホンダのPUYOもキャビンの360度回転は同様だが、ジョイスティックによる直感的なステアリング操作、Si系ゴムによる柔らかい車体、歩行者に走行状態を知らせるために車体を発光させるなどユニークな機能を盛り込んでいる。(加藤伸一

デンソー、欠陥密度を抑えたSiCパワー素子を展示
デンソーは、第40回東京モーターショーにおいて、SiCパワー素子を展示した。内製した3インチの4H-SiC基板を使ってMOSFETを2個、ショットキーバリアダイオードを1個を作製。これを1モジュールとして、6枚配列したアレイで自動車のタイヤを駆動させる。MOSFETは5mm角で電流値が50A(最大70A)。ただ、デッドスペースがあるため、実力値は35A程度。将来的には8mm角で400Aを目標に据えている。電流密度は200A/cm2で、「ハイブリッドカー(HEV)や電気自動車(EV)のインバータに使用するには400〜800A/cm2が要求されており、実用化にはまだ課題が多い」(説明員)という。また、SiC基板のマイクロパイプをゼロにできる技術を保有しており、結晶欠陥密度は世界最少となる数百個/cm2に抑制している。(藤村顕太朗)

小糸製作所、レクサスに搭載のLEDヘッドランプを展示
小糸製作所は、第40回東京モーターショーにおいて、トヨタ自動車の「レクサスLS600h」に搭載されているLEDヘッドランプを展示した。日亜化学工業製のLEDを5チップ搭載。プロジェクタユニットは、ハイビーム、ロービーム、小型赤外線フィルタで構成されており、自由に切り換えができる。また、コーナリングや右左折時には、車の進行方向に合わせてロービームの照射方向を制御するスイブル式(Swiveling)配光可変型ヘッドランプ(Adaptive Front-Lighting System:AFS)を採用している。「このLEDが2個あればハロゲン、3個あればHIDの明るさが出せるので、低消費電力、燃費向上などにつながる」(説明員)という。(藤村顕太朗)