TI社,オーディオDSP「Aureus」にDolby Digital Compatible Output対応品を追加

http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20061110/123421/?ref=ML
 米Texas Instruments Inc.(TI社)は,「Dolby Digital Compatible Output」の認証を取得したオーディオ用DSP「TMS320DA710」と「TMS320DA708」を発売した。ホーム・シアター・システムがHD DVDBlu-ray Disc用に移行しつつあることなどを受け,Dolby Digital技術によるサラウンドに対応する。高速なメモリ・インタフェースを備え,演算性能も強化するなどして,マルチチャネルでの復号化処理と高速な符号化処理を実行できる。

 今回の新製品を含むTI社のオーディオ用DSP「Aureus」ファミリでは,ミキシングや再符号化などが行える。ミキシング機能で,HD DVDBlu-ray Discが採用しているデュアル・オーディオ・ストリームを実現できる。映画のサウンド・トラック(プライマリ・オーディオ・ストリーム)に,インターネット経由などでダウンロードした製作現場のコメントや広告コンテンツ(セカンダリ・オーディオ・ストリーム)をミックスするなどといったことが可能になる。AureusのうちDA7xx世代では,サンプリング速度が異なる場合でもプライマリ・ストリームとセカンダリ・ストリームをミキシング可能。さらに,画面で操作する「ボタン・サウンド」として,第3のオーディオ・ストリームも加えられる。ミキシングだけではなく,擬似的なサラウンドやヘッドホン・サラウンドといった音響効果も実現できる。

 残響や擬似的なサラウンドなどの音質処理には,長い遅延バッファが必要である。こうした処理やオーディオ信号の処理アルゴリズムは,メモリの帯域幅や容量を多く必要とするため,内部メモリでは足りず外部メモリを使うことになる。今回の製品では,シンクロナスDRAMへのアクセス速度を最大133MHzまで高められる。外部メモリへのアクセスが早くなれば,それだけ遅延バッファの処理レイテンシが軽減され,符号化/復号化の処理性能とオーディオ品質の向上につながる。プロセサの処理速度は,DA710で300MHzと275MHz,DA708で266MHzとなっている。

 DA710は,256端子BGAで提供する。参考価格は,1万個以上受注時,300MHz動作品で21.63ドル,275MHz動作品で16.05ドル。DA708のパッケージはRFP。参考価格は,同じく13.52ドル。どちらにも,車載用途に向けて動作温度範囲の広げ,Q100認証を取得したものも用意した。車載用DA710は275MHz動作,同DA708は250MHz動作。こちらもシンクロナスDRAMインタフェースは133MHz。