Freescale Uze氏、「ルネサスの赤字体質は日本の商慣習も原因」

米Freescale Semiconductor 副社長 David M. Uze氏は5月31日、日本の組み込み市
場戦略として、エコシステムの重要性について語った。この中で、競合のルネサス
エレクトロニクスの業績不振について、「日本の(車載の)顧客は長期間にわたって
同じ製品の提供を要求する商慣習が課題」(Uze氏)と指摘。こうした商取引は、欧
米では通常敬遠されるという。また、利益を確保する方法として、多機能の1チップ
化など高付加価値へのシフトが挙げられるが、「(ルネサスは)コモディティ製品と
高付加価値製品の両方を提供しようとしたことが赤字体質の要因になった」と分析し
た。また、東京大学大学院 情報学環 教授 坂村健氏が開発したオープンプラットフォー
ムOS「TRON」のエコシステムに参加することを表明。「優れた技術は産業全体で守る
必要があり、取引先を囲い込むのではなく、エコシステム戦略を組むべき」(同氏)
と呼びかけた。続いて坂村教授も講演し、今後はLTEなどネットワークの高速化と常
時接続による4G化が進み、アイドルから接続モードでのレイテンシーが50ms以下、
Round Trip Timeが150msから5ms以下になると予測。将来的にはユビキタスな機能分
散システムが実現し、特定のOSやチップが特に必要ない環境になるとの見方を示した。
(池田敦)