米運輸省、後方カメラの義務化を延期

運輸省のラフード長官はこのほど、車両の後方を映し出すカメラの搭載義務化を求める規
制の導入を延期するとの方針を明らかにした。地元メディアによると、同長官は今年1月の時
点では、2月29 日までに条文を確定する予定だったが、今年末までに延期すると決定。法令
では2013年中に発売される14年モデルからの義務化が求められていたが、今回の延期により、
12 年末に導入したとしても14 年モデルへの適用は事実上不可能になった格好だ。
連邦議会は08年に後方カメラの義務化を定めた法案を成立させ、2011年2月末までに規制
を導入するよう運輸省と同省の高速道路交通安全局(NHTSA)に求めていた。
だが、同法では運輸長官に規制の導入時期を延期する権限も認めており、この権限をラフー
ド長官が行使した。同長官は「私にも9人の孫がおり、この規制はぜひとも導入したい。だが、
もう少しデータを集める必要がある」と話しており、規制の導入を断念したわけではないと釈
明した。
同規制をめぐる主な論点は2つあり、1つはコスト、もう1つはカメラが撮影した画像を映
し出すまでの時間とされている。NHTSAの試算によれば、後方カメラ義務化に必要なコス
トは1台当たり200 米ドルに上る。
一方、自動車を後退させる際に起きた事故では、この数年の平均で年間292 人が死亡、約1
万8000 人が負傷している。犠牲者の44%を5歳以下の幼児が占めており、70 歳以上の高齢者
が占める割合も33%と高い。しかし、後方カメラの義務化によって犠牲者1人を救うためにか
かるコストは1100 万米ドルとの試算もあることから、費用が大き過ぎるとの問題点も指摘さ
れている。
画像を映し出すまでの時間をめぐっては、当局側がギアをリバースにシフトしてから1秒前
後と想定しているのに対し、業界側はインフォテインメントシステムが機能を切り替えるのに
3秒はかかると主張するなど、議論は平行線をたどっているようだ。