地上デジタル放送、コピーワンスを見直し--総務省が検討を開始

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 総務省は8月1日、情報通信審議会からの第3次中間答申を受け、地上デジタル放送のすべての放送番組に関して、コピーワンスから「EPN」(Encryption Plus Non-assertion)へ変更する方針で検討を開始すると発表した。

 デジタル放送は2004年4月5日から、著作権保護方式として、コピーワンスが採用されている。コピーワンスは、放送局からの発信段階で、制御信号が付与されるため、1世代に限り、コピーが可能になる。原本からのコピーは自由だが、複製品からコピーを作ることはできない。

 一方、EPNは、放送局からの発信段階で、暗号化が施されるため、テレビやパソコンなどの受信機が、暗号解読装置を搭載していなければ、再生することはできない。しかし、コピーは、暗号に対応した機器であれば、自由に行うことができ、コピーワンスのように、複製の世代制限を行うことはできない。

 EPNが検討される背景には、コピーワンスでは、デジタルチューナー内蔵の録画機などで「ムーブ(デジタル放送をデジタル録画機器に録画したものをDVDへ移すこと)」を行う際、オリジナルのバックアップを保持しておくことができない。また、ムーブが失敗すれば、オリジナルの放送番組とDVDに途中まで記録された放送番組の両方が使用不能となるなど、受信機側の問題が挙げられる。また、電子情報技術産業協会が「EPNはネットワークを通じたコンテンツの無法な再配布を阻止できる」と説明するように、デジタル放送のインターネット送出禁止を前提にする米国の著作権保護の影響もある。

 総務省は、2011年のデジタル放送への全面移行に向け、放送事業者、受信機メーカーなどに対し、EPNについて、早急に検討し、12月までに検討状況を公表するよう要請している。